Jプロツアー第14戦
第55回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ 兼 第6回JBCF南魚沼ロードレース
日付 2021年9月20日
開催地・コース 新潟県南魚沼市 三国川ダム周回コース(1周:12km 左回り)
距離:156km(JPT)、48km(F)、84km(E1)、48km(E2)、36km(E3)
■Jプロツアー(JPT)
2019年以来2年ぶりの南魚沼ロードレースは、「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」としての開催。Jプロツアーのレースとしては最高のレースレーティング「プラチナ」に指定され、同「ブロンズ」の3倍のポイント配分となる。近年ではこの大会での優勝が年間ランキングに大きく影響しており、各チームが焦点を合わせてくるレースでもある。
また、各チームの上位3名の順位の総合による団体戦が争われることがこの大会の伝統でもある。優勝チームには経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。輪翔旗は2017年以来4年連続でマトリックスパワータグが獲得しており、今年は5連覇がかかる。
コースは、三国川(さぐりがわ)ダムのダム湖「しゃくなげ湖」を囲むように設定された1周12km。スタート地点から約2km続く登りが勝負所となる一方、コース後半は道幅が狭くカーブが連続し、残り3kmからはヘアピンカーブが連続する長い下りで、約100mの高低差を一気に下る。
真紅の輪翔旗が、前年優勝チーム・マトリックスパワータグのフランシスコ・マンセボからJBCF安原理事長に返還される
13周156kmのレースは、スタート直後のアタック合戦から10名が先行。2周目までに2名が遅れて8名となった先頭集団は、メイン集団との差を2分以上まで広げて3周目に入る。
先頭集団のメンバーは、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)、橋本英也、沢田時(以上TEAM BRIDGESTONE Cycling)、小森亮平(マトリックスパワータグ)、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)、中村龍吉(群馬グリフィンレーシングチーム)、香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム)、小林弘幸(LEOMO Bellmare Racing Team)。
前日の南魚沼クリテリウム優勝の岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を先頭にスタート
1周目に形成された先頭集団に、東京五輪に出場した橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)も加わる
3周目、メイン集団から佐野千尋と比護任(共にイナーメ信濃山形)の2名が追走に出る一方、メイン集団と先頭集団との差は6分以上まで開く。5周目に入ると、メイン集団は佐野と比護の追走を吸収し、先頭集団との差を3分20秒まで縮める。しかしその後先頭集団とメイン集団との差は再拡大し、7周目には7分まで広がる。レース終盤に入っても差は縮まらず、勝負は先頭集団の8名に絞られる。
8周目、中間スプリントポイントを取りに動いた草場がそのまま単独先行し、後続に40秒ほどの差をつける。草場の先行は10周目まで続くが、この動きで橋本と中村が遅れ、先頭集団は6名となる。
三国川ダムの放水路を背にダウンヒルしていく集団
三国川ダムの「しゃくなげ湖」湖畔を周るコース
残り2周となる12周目、登り区間で沢田がアタック。草場が追従し、さらに小森、冨尾が追いついて4名となり、最終周回に入る。沢田は登り区間で再度アタック。10秒ほどの差をつけてコース中間点に差し掛かるものの、草場、小森、冨尾が追走して残り4km付近で沢田を捉える。
4名はそのまま残り1kmを過ぎ、最後のスプリント勝負へ。草場が沢田、小森との競り合いを制して先着し、Jプロツアー初優勝。愛三工業レーシングチームは前日の南魚沼クリテリウムに続き2連勝とした。
団体戦では、7位に今村駿介、8位に山本哲央が入ったTEAM BRIDGESTONE Cyclingが輪翔旗を獲得。5連覇のかかっていたマトリックスパワータグは2位。今シーズンからJプロツアー参戦のCIEL BLEU KANOYAが3位となった。
先行していた草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)を吸収して6名となった先頭集団
草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)がJプロツアー初優勝
表彰式 プレゼンターは国土交通省北陸地方整備局三国川ダム管理所の大熊義史所長
団体表彰式 プレゼンターは国土交通省北陸地方整備局三国川ダム管理所の大熊義史所長
結果 JPT 156km
1位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) 4時間13分23秒
2位 沢田 時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +0秒
3位 小森亮平(マトリックスパワータグ) +2秒
4位 冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA) +30秒
5位 小林弘幸(LEOMO Bellmare Racing Team) +4分11秒
6位 香山飛龍(弱虫ペダル サイクリングチーム) +4分11秒
中間スプリント賞
1回目 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
2回目 小森亮平(マトリックスパワータグ)
3回目 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
敢闘賞 沢田 時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
団体戦順位
1位 TEAM BRIDGESTONE Cycling 1位、7位、8位
2位 マトリックスパワータグ 3位、11位、13位
3位 CIEL BLEU KANOYA 4位,10位,14位
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
■Jフェミニンツアー(JFT)
女子のFクラスタは4周48km。米田和美(MOPS)のスタートアタックが吸収されて2周目に入ると、植竹海貴(Y’s Road)が登り区間でペースアップ。集団はバラバラになり、大堀博美(MOPS)のみが植竹に追従し、後続を大きく引き離していく。
最終周回に入ると、登り区間で大堀のアタックに反応した勢いで植竹が先行。離された大堀はじわじわと差を詰めて植竹に追いつく。植竹はさらにアタックするものの、大堀が再び追いつき、残り2kmへ。最終盤に植竹が大堀を振り切って勝負を決め、今シーズン9勝目を挙げた。
F リーダージャージの植竹海貴(Y’s Road)を先頭にスタート
F 登り区間で先頭を引く大堀博美(MOPS)
F 大堀博美(MOPS)を振り切ってフィニッシュする植竹海貴(Y’s Road)
F 表彰式 プレゼンターはしゃくなげ湖畔開発公社の大塚拓男理事長
結果 JFT 48km
1位 植竹海貴(Y’s Road) 1時間25分2秒
2位 大堀博美(MOPS) +4秒
3位 米田和美(MOPS) +1分7秒
中間スプリント賞 植竹海貴(Y’s Road)
Jフェミニンリーダー 植竹海貴(Y’s Road)
■Jエリートツアー(JET)
7周84kmのレースは、終盤まで先行を続けていた米谷隆志(たかだフレンドレーシング)と、中里仁(Rapha Cycling Club)の2名を、高岡亮寛(Roppongi Express)が先導する3名の追走集団が最終周回の残り5km付近で追いつく。さらにエリートリーダージャージの池川辰哉(VC VELOCE)を含む4名の集団が追走してきていたが、高岡がアタックして先行。そのままフィニッシュまで逃げ切って優勝した。
スタート
最終周回、高岡亮寛(Roppongi Express)が先導して3名の追走集団が形成される
高岡亮寛(Roppongi Express)が単独で逃げ切って今シーズン初優勝
結果 E1クラスタ 84km
1位 高岡亮寛(Roppongi Express) 2時間10分56秒
2位 美甘星次郎(AVENTURA VICTORIA RACING) +3秒
3位 本田竜介(F(t)麒麟山 Racing) +4秒
4位 池川辰哉(VC VELOCE) +5秒
5位 中野 圭(イナーメ信濃山形-EFT) +7秒
6位 中里 仁(Rapha Cycling Club) +28秒
中間スプリント賞
1回目 塚本 隼(ZERO BIKE FACTORY)
2回目 米谷隆志(たかだフレンドレーシング)
Jエリートツアーリーダー 池川辰哉(VC VELOCE)
文/写真 JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟