Jプロツアー第7戦
群馬CSCロードレース 6月大会
日付: 2021年6月12日
開催地・コース 群馬県利根郡みなかみ町 群馬サイクルスポーツセンター 6kmサーキットコース(1周:6km 逆回り)
距離:162km(JPT)、120km(E)、84km(F)
■Jプロツアー(JPT)
Jプロツアー第7戦は、4月の「東日本ロードクラシック群馬大会」以降3戦連続開催となる群馬サイクルスポーツセンター(以下群馬CSC)でのレース。今回は、新たな試みがふたつ導入されての開催となった。
ひとつめは、JBCFの大会としては初めて6kmサーキットを逆方向に周回するレースとしたこと。群馬CSCは、4km地点から始まる「心臓破りの登り」を除けば脚を休めることが出来ると言われているが、逆回りにすることでコースの性格が変わって休むポイントが少なくなる。これにより選手にとっては厳しいレースとなり、従来とは異なる選手が勝つことが期待される。
逆周回により懸念される安全面についても慎重に検討され、フィニッシュ地点を登りとなるバックストレート側に設定するなどの対策を盛り込んで今回のレースに導入された。
ふたつめは、新たに導入された「セレクションレース制度」の対象となる最初の大会であること。これは、JCF又はUCIの競技者ライセンスを保持し、2021年JBCF非加盟かつJプロツアーライダーステイタスを満たす選手が、3大会を限度にJプロツアーのレースに出場出来る制度。本来ならチーム単位で登録するJプロツアーに個人での参加を許可し、コロナ禍により出場できるレースが少なくなっている選手にレースを走る機会を与えることを目的とする。今回はこの制度を利用し、東京五輪MTB代表の山本幸平を含む20名の選手がエントリーした。
今シーズン最長となる27周162kmのレースは、1周+2kmのローリングを経てリアルスタート。アタック合戦の中から16名の先頭集団が形成され、後続との差が広がり始める。
バックストレートを逆方向にスタート
「心臓破り」を下っていく集団
先頭集団は、ホセ・ビセンテ・トリビオ、小林海(以上マトリックスパワータグ)、石橋学、冨尾大地(以上CIEL BLEU KANOYA)、井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)、沢田時、徳田優(以上TEAM BRIDGESTONE Cycling)、山本幸平(セレクションチーム・オープン参加)らを含む強力なメンバーが揃ったこともあり、メイン集団との差は4分以上まで開く。
レース中盤に入ると、TEAM BRIDGESTONE Cyclingがメイン集団のコンロトールを開始。ネクストリーダージャージの山本哲央、トラックのオムニアム東京五輪代表の橋本英也らも加わり、先頭集団との差を2分まで縮める。しかしその後再び差が広がりはじめ、レース終盤にかけて3分以上まで開く。
レース中盤以降、TEAM BRIDGESTONE Cyclingがメイン集団をコントロール
レース序盤に形成された16名の先頭集団 前を引くのは東京五輪MTB代表の山本幸平
逃げ切りが濃厚になった先頭集団では、残り10周を切ったところからアタックと牽制が始まり、足並みが乱れはじめる。残り6周、先頭集団から冨尾がアタックして単独先行。後続との差を1分近くまで広げて周回を重ねていく。
この動きでバラけた先頭集団から、小林、沢田、井上、渡邉歩(愛三工業レーシングチーム)の4名が追走集団を形成。残り3周で冨尾を捉えると、入れ替わるように小林が単独先行を開始する。沢田と井上が追うものの、小林はフィニッシュまで2周を逃げ切ってJプロツアー初優勝。マトリックスパワータグにとっては、母国スペインのナショナル選手権出場のため帰国したフランシスコ・マンセボ不在の穴を補う勝利となった。
残り7周、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)がアタック
小林海(マトリックスパワータグ)ら4名の追走集団が、先行する冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)との差を詰めていく
残り2周を独走で逃げ切った小林海(マトリックスパワータグ)が優勝
表彰式 左から、3位井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)、1位小林海(マトリックスパワータグ)、2位沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
結果 JPT 162km
1位 小林 海(マトリックスパワータグ) 4時間2分43秒
2位 沢田 時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +1分19秒
3位 井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2分1秒
4位 冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA) +2分13秒
5位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +2分23秒
6位 西村大輝(セレクションチーム※オープン参加) +2分23秒
敢闘賞 冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)
中間スプリント賞
1回目 安原大貴(マトリックスパワータグ)
2回目 石橋 学(CIEL BLEU KANOYA)
3回目 安原大貴(マトリックスパワータグ)
4回目 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
■Jフェミニンツアー(JFT)
14周84kmで行われた女子のJフェミニンツアーのレースは、レース序盤の5周目までに植竹海貴(Y’s Road)と唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2名が先行し、後続との差を大きく広げていく展開。
最終周回に入る直前にアタックした植竹が唐見を一気に引き離し、そのままフィニッシュまで独走して今季6勝目。3回設定された中間スプリント賞も全て獲得した植竹が、シリーズランキングのリードをさらに広げた。
フェミニンリーダージャージの植竹海貴(Y’s Road)を先頭に進む集団
植竹海貴(Y’s Road)に唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が続く
表彰式 左から、3位金子尚代(弱虫ペダルサイクリングチーム)、1位植竹海貴(Y’s Road)、2位唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)結果 JFT 84km
1位 植竹海貴(Y’s Road) 2時間24分26秒
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) +53秒
3位 金子尚代(弱虫ペダルサイクリングチーム) +5分40秒
中間スプリント賞
1回目 植竹海貴(Y’s Road)
2回目 植竹海貴(Y’s Road)
3回目 植竹海貴(Y’s Road)
Jフェミニンリーダー 植竹海貴(Y’s Road)
■Jエリートツアー(JET)
E1、E2、E3の3クラスタ同時出走による交流戦として行われたJエリートツアーのレースは20周120km。スタート直後に7名の先頭集団が形成され、メイン集団に30秒から1分差をつけて先行する。レース中盤に先頭集団のメンバーの入れ替わりがあったものの、メイン集団に吸収されることなく周回を重ねていく。
レース終盤、先頭集団は4名に絞られる一方、10名ほどの追走集団が形成される。しかし差を縮め切ることは出来ず、4名が逃げ切りを決める。最後はスプリント勝負を渡邉翔悟(日本体育大学)が制して優勝した。
E1+E2+E3の150名以上の集団が長く伸びる
レース終盤、4名に絞られた先頭集団
渡邉翔悟(日本体育大学)が優勝
表彰式
結果 JET 120km
1位 渡邉翔悟(日本体育大学) 3時間3分35秒
2位 比嘉祐貴(日本体育大学) +0秒
3位 池川辰哉(VC VELOCE) +0秒
4位 川勝敦嗣(MiNERVA-asahi) +1秒
5位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +26秒
6位 増子雄士(Astama Cycling Team) +28秒
中間スプリント賞
1回目 池川辰哉(VC VELOCE)
2回目 池川辰哉(VC VELOCE)
3回目 池川辰哉(VC VELOCE)
Jエリートツアーリーダー 松木健治(VC VELOCE)
U19リーダー 川田翔太(ボンシャンスACA)
文/写真 JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟