Jプロツアー第14戦
第54回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ
日付: 2020年10月11日
開催地・コース: 群馬県利根郡みなかみ町 群馬サイクルスポーツセンター(1周:6km)
距離:180km(JPT)、90km(F・中止)、120km(E1・中止)、90km(E2・中止)、26.4km(E3)
■Jプロツアー(JPT)
コロナ禍により異例の7月開幕となった2020年のJプロツアー。全14戦の最後を飾るのは、経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。Jプロツアーの中で最もステータスの高い大会であり、レースレーティングは今年唯一の「プラチナ」に指定される。優勝者には900ポイントが与えられるほか、2位以下のポイント配分も他のレースより高く設定されており、接戦となっている個人とチームの総合優勝争いはこの1戦で決まる。
また、大会名の通り「経済産業大臣旗」をかけたチーム対抗戦であることが、この大会の伝統であり、最大の特徴。優勝チームには真紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。
会場は群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキット。一時は台風の接近により開催が危ぶまれたものの、幸運にも台風の進路が変わって天候悪化の可能性が無くなったことから、予定通り30周180kmという、異例の長距離レースとして行われた。
スタート直後のアタック合戦から、2周目に風間翔眞(シマノレーシング)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、永冨一騎(群馬グリフィンレーシングチーム)の3名が先行。さらに佐野淳哉(レバンテフジ静岡)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2名が合流し、5名の先頭集団が形成される。
5名の先頭集団を見送り、序盤はゆっくり進むメイン集団
レース序盤から中盤まで先行した5名。先頭は2017年経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ優勝の佐野淳哉(レバンテフジ静岡)
メイン集団はVICTOIRE 広島やTEAM BRIDGESTONE Cycling、愛三工業レーシングチームなどがコントロール。差は一時2分以上まで開いたものの、レース中盤にかけて1分30秒前後で推移。途中、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、トマ・ルバ(KINAN Cycling Team)らが飛び出す場面があったものの、本格的な追走にはならないまま集団に戻る。
レースが終盤に入った21周目、マトリックスパワータグがメイン集団をペースアップさせ、先行する5名を吸収。再び集団が活性化した中から、橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤遼(レバンテフジ静岡)、西尾の4名が抜け出して新たな先頭集団を形成する。メイン集団との差は1分50秒まで開くが、残り5周から集団コントロールを再開したマトリックスパワータグにより、残り4周で吸収する。
残り3周に入ると、新城雄大(KINAN Cycling Team)や小石祐馬(TeamUKYO)がアタックするが、マンセボ自らチェックに入り、決定的な動きを許さない。残り2周からは三たびマトリックスパワータグが集団前方を固めてコントロールを開始。最終周回に入ると、その隙をついてアタックが繰り返されるが、いずれもマトリックスパワータグがことごとく潰していく。
残り2周からはフランシスコ・マンセボを先頭にマトリックスパワータグがコントロール
最後の心臓破りの登りをクリアし、残り1kmのバックストレートに先頭で現れたのは、プロリーダージャージを着るレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)。直後にマンセボが続き、2人が先行して残り300mのホームストレートへ。最後はマンセボを先頭に、キンテロと共にガッツポーズを決めてフィニッシュした。3位にはホセ・ビセンテ・トリビオが続き、昨年の経済産業大臣旗同様マトリックスパワータグが1位から3位を独占して完勝した。
フランシスコ・マンセボ(写真右)が優勝、レオネル・キンテロ(写真左)が2位、後方のホセ・ビセンテ・トリビオが3位でマトリックスパワータグが3位までを独占
この結果、マトリックスパワータグ は団体戦優勝も決め、4年連続で輪翔旗を獲得。さらに年間のチーム総合順位でも首位の宇都宮ブリッツェンを抜いて優勝。キンテロの個人総合優勝とあわせ、2年連続で個人とチームのダブルタイトルを達成した。
昨年に続きマトリックスパワータグが表彰台を独占
Jプロツアー個人総合優勝のレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ・右)と、U23総合優勝の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム・左)
結果 JPT 180km
1位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 4時間38分10秒
2位 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ ) +0秒
3位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +6秒
4位 大前 翔(愛三工業レーシングチーム) +8秒
5位 今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +8秒
6位 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +9秒
団体賞
1位 マトリックスパワータグ 2160p
2位 TEAM BRIDGESTONE Cycling 945p
3位 愛三工業レーシングチーム 810p
敢闘賞 西尾憲人(那須ブラーゼン)
中間スプリントポイント
3周回完了時 西尾憲人(那須ブラーゼン)
9周回完了時 佐野淳哉(レバンテフジ静岡)※未完走
18周回完了時 風間翔眞(シマノレーシング)
Jプロツアー個人総合優勝 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)
U23個人総合優勝 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
チーム総合優勝 マトリックスパワータグ
■Jユースツアー(JYT)
ジュニアユース・チャンピオンシップとして開催されたJユースツアーのレースは12周72km。レース序盤に留目夕陽と西本健三郎の東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部の2名が先行。そこにユースリーダージャージを着る神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)が合流し、後続に4分以上の差をつける。
Y ユースリーダージャージの神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)を先頭にスタートラインに揃ったJユースツアーの選手
レース序盤から先行した3名が後続を引き離していく
7周目、留目と西本の2人が神村を振り切って先行。最後は2人でのスプリント勝負となり、留目が今季2勝目を挙げた。神村は3位に入り、最終戦の「しゅうなんクリテリウム (山口県山口市で開催)」を前に、Jユースツアー総合優勝を確定させた。
Y 表彰式
結果 JYT 72km
1位 留目夕陽(東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部) 1時間50分14秒
2位 西本健三郎(東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部) +0秒
3位 神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) +1分13秒
Jユースリーダー 神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
なお、10月10日に予定されていたJフェミニンツアー、JエリートツアーのE1、E2クラスタは、台風接近の影響を考慮して中止とされた。
文/写真 JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟